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美しい母と、その母にそっくりな中1の娘[第3話]

この体験談は約 14 分で読めます。

順子さんと関係を持ってから数日後の日曜日。
アパートでのんびりいいとも増刊号を観ていると携帯が鳴った。
着信を見ると由香ちゃん、嫌な予感がした。

由香「もしもーし、タッ君やっほー♪」

朝からハイテンションの声。

俺「由香ちゃん、おはよう。朝から元気だね」

由香「朝ってもう10時だよwタッ君お寝坊さんだねw」

俺「で、なんだい?」

由香「私、今日暇なんだよねー。タッ君遊ぼうよ、カラオケ行こー」

能天気な声。
そもそもこの子は与えてある宿題はちゃんとこなしてるんだろうか?してないだろうなぁ・・・なんて事を思いつつTVを消して、携帯を持ったままベランダに出る。

俺「由香ちゃんあのね、前も言ったけど連絡先を教えたのは予定の変更があった時に困るからで、本来家庭教師がプライベートで生徒と会うのは色々問題があるから禁止なの」

由香「タッ君の住んでるところの近くまで来てるんだよ~ねー。タッ君のアパートってどこ?」

(この娘は本当人の話を聞かないな・・・)

由香ちゃんにしつこく聞かれて、住んでる町内までは教えていたので来てしまったらしい。

俺「だめ、クビになったら困るから」

由香「えー、私が黙ってればいいじゃない♪」

俺「ダメったらダメ!お友達と遊びなさい!切るよ!!」

由香「あっ、ちょっま・・・」

“プッツーツー”

(ふー・・・なに考えてんだ最近の中1は・・・)

再びTVを付ける、タモさんが喋らないゲスト相手に話題に困って、「髪切った?」と聞いていた。
数十分ほどしてからだろうか、また携帯が鳴った。
着信を見るとまた由香ちゃん。

俺「あーもう無視だ無視!子供に付き合ってられるか!」

そう独り言を呟いて携帯の電源を切りベッドに放り投げる。
子供に付き合ってられるか・・・か。

(俺も子供だよな・・・全然・・・)

そう思って携帯を取り、再び電源を入れる。
すると即かかって来た。

俺「うおっ!」

思わずビックリする、また由香ちゃん。

俺「もしもし・・・」

由香「あっ良かった、もー、電源切るとか酷くない?」

俺「遊びには行かないぞ」

由香「もーそれどころじゃないよ。タッ君助けて!」

先ほどの能天気なテンションと違って今度は鬼気迫る声。

俺「はっ?」

由香「さっきヤンキーぽい人たちに絡まれちゃって、断ったんだけどしつこくて、今コンビニにいるんだけど、外でずっと待ってるの。ねぇ怖いよタッ君!」

俺「ちょ、お母さんには?」

由香「お母さん、今日お父さんの所行ってるから居ないの、電話したけど出ないから」

俺「そうだ、警察は!?」

由香「け、警察はね、呼んだけど全然来てくれなくて・・」

俺「わかったすぐ行く、どこのコンビニだ!」

由香「えっとね、◯◯って所の前の角の・・・」

そこまで聞いてどこのコンビニなのかすぐにわかった。

俺「わかった、そこで待ってろ!すぐに行くからな!」

由香「あっ、タッ君ちょ・・」

とにかく携帯と財布をジーンズに突っ込んでジャンパーを羽織って家を飛び出す。
コンビニは幸い近所だから走れば5分もかからない。
由香ちゃんに何かあったら順子さんに顔向けできない!!

俺「由香ちゃん、すぐ行くから電話は切らずにそのままで!」

由香「うん・・・あ・・・でも・・・」

必死で走った。
お陰で3分ほどで辿り着いた。
今思うとこんな全力疾走でフラフラの状態で不良グループ相手にいざという時、どうするつもりだったのか我ながら疑問だが・・・。

俺「はぁはぁ!由香ちゃん?!」

コンビニに飛び込んで思わず大声で呼んでしまう。
中の客も店員も何事かと一斉に俺を見る。

由香「あっ、タッ君!ヤッホー!」

俺「だ、大丈夫だったか?!不良は?!」

由香「あ、うんwあのねw」

俺「嘘?!」

由香「ごめんwだってタッ君電源切っちゃうから、つい仕返ししたくて・・・」

フラフラと店の中に座り込んでしまった。

由香「あの・・・タッ君ごめんね・・・。すぐ冗談だって言おうと思ったんだけど・・・タッ君必死で走ってて聞こえてなくて・・・へへ・・・」

店員「あの、お客様どうかされましたか?」

店員さんが心配して声を掛けてくる。

俺「いえ、ぜぇぜぇ・・・大丈夫です・・・」

そう言って二人店を出る。
まったく・・・冗談にしても質が悪すぎる。

俺「いったいどういうつもりだ!こんな冗談洒落にならないぞ!!」

息が整ったのでようやく言いたい事が言える。

由香「ご、ごめんなさい・・・へへ・・・やり過ぎちゃったね、ごめんね、タッ君・・・」

謝ってはいるけど、どこか本気で謝ってない。
可愛い顔を作って上目遣いでこっちを見上げてくる。

俺「・・・本当に反省してんの?」

由香「うん、ごめんねw」

えへへと可愛い顔を作って上目遣い。

俺「・・・」

この子のこの顔を見てるとどうも本気で怒れなくなる・・・。
まったく得なキャラクターをしてる。

俺「まったく・・・」

由香「ね、それはそうと、せっかく来たんだから遊ぼうw」

俺「あのねぇ!」

由香「ね、ちょっとだけwちょっとだけ遊んでくれたら帰るから、ね?」

首をかしげてお願いポーズ・・・。
絶対わかっててやってるよね、これ。

俺「まったく・・・仕方ないな・・・はぁ・・・」

由香「やったー、何する?どこ行く?私カラオケがいいなぁ~w」

俺「ダメ!家に連れて帰ります」

由香「えー、つまんないぃ!」

頬っぺたを膨らましてブーブー言う由香ちゃん。

俺「ダメ!君はほっとくとロクな事しないから家に居なさい!」

そう言うと手を引いて強引に連れて行く。

由香「もー、タッ君の意地悪!」

俺「君に言われたくない!ほら、しゃかしゃか歩く!」

由香「タッ君こわーい」

俺「・・・」

無視してずかずか歩く。
赤信号で2人並んで待つ。

由香「ねぇタッ君」

俺「なに?」

由香「こうして手を繋いで歩いてると、私達こいび・・」

俺「あ、青だぞ!」

最後まで聞かずに歩き出す。

由香「ムーッ!」

その後もずーっとキャンキャン色々言ってたけど全部無視して家に連れ帰った。

俺「よし、今日は先生を騙した罰だから、悪いと思ってるなら家でじっとしてなさい!」

由香「えー、家誰も居なくてつまんないよ!先生せっかくだからお話しようよ!」

俺「ダメ!家庭教師の日でもないのに、順子さん居ない日に2人っきりなんて!」

そう言って玄関のドアノブに手を掛けた時だった。

由香「ふーん、『順子さん』ねぇ・・・お母さんと2人っきりはいいけど、私と2人っきりはいけないんだぁ~」

由香ちゃんがわるーい顔で笑っていた。
そう、あの日、俺を二階から見下ろして笑っていた時と同じ顔。
しまったと思った・・・。
『順子さん』なんて迂闊にも名前で呼んでしまった。

俺「いや、そういう事じゃないでしょ」

由香「嘘だぁ♪私、知ってるんだからね」

ふふ~んと笑って由香ちゃんが階段に座る。

俺「なにを?」

由香「タッ君、お母さんとキスしてたでしょ」

俺「なっ!馬鹿な事を!そんなこ・・・」

由香「誤魔化しても無駄だよ、先生の口にお母さんの口紅付いてたもん♪」

俺「・・・」

(しまっ、ん?待てよ?)

俺「なっ!あの時、じゅ、お母さんは口紅してなかっただろ」

順子さんは確かに昼間俺に声を掛けてきたときはバッチリメイクしてた。
でも俺と時間いっぱいまでベッドでゆっくりして2人でシャワーを浴びたんだ。
危うくまた順子さんと言いそうになる、落ち着け俺・・・危ないところだった。
コレは引っ掛けだ!
確かに俺と順子さんの関係を怪しいと思ってはいるみたいだが、どうやら証拠があるわけじゃないみたいだ。

由香「ふーんw引っかからなかったかw」

まだ何か余裕の由香ちゃん・・・。
油断できない・・・まだ何かあるのか・・・。

俺「引っかからないも何も本当に何にも無いよ!」

由香「でも、お母さんがあの日口紅つけてないって良く気がついたね♪」

俺「そりゃ、毎日ばっちりお化粧してる人が、化粧してなきゃ気になるさ!当然だろ・・・」

何とか言い逃れしないと・・・。
それにしても勉強は苦手なくせに、こういう事だけは妙に頭が回る子だなこの子は。

由香「でも、だとしたらまた疑問があるんだよね♪」

由香ちゃんは今のこの状況がとても楽しくて仕方が無い様子だ。

俺「な、なにが?」

由香「だって、あの日は先生と約束して私の進学の相談をしてたんでしょ?」

俺「そ、そうだよ」

由香「おかしいなぁ~♪おかしいなぁ~♪」

由香ちゃんは突然変な歌を口ずさんだ。

俺「な、なんだその歌は!」

由香「クスクスwだって可笑しいんだもんw」

俺「だから何が!」

由香「あのねぇ~、お母さんはねぇ、先生が来る時は毎回念入りにお化粧してるんだよ?」

俺「・・・」

由香「先生が来る日は毎日丁寧にお化粧しちゃってさ、お父さんが居るのにねw」

順子さんが俺のために・・・。
なんだろう、このふつふつと湧き上がる嬉しさ。

由香「なのに、2人っきりで先生と約束してたのにお化粧してないのって変じゃない?w」

俺「そ、そりゃお母さんだって忙しくて忘れる事くらいあるだろ・・・」

由香「うーんそれはないと思うなぁwお母さんね面白いんだよ、先生が来る日はソワソワしちゃってさw時間が近くなってくると窓の外ばっかり見てるんだよw」

順子さんがそんな風に俺を待っていてくれてたのか・・・。

由香「そう考えると、大体他にも変な所いっぱいあるよ」

俺「・・・」

由香「大体私が中学1年なのに今から大学っておかしくない?気が早すぎw普通高校でしょ?それに先生の大学って結構頭良いよね。うちのお母さんが私がそんなところにいけるなんて思ってるとは到底思えないもんwそれになんか2人妙に余所余所しくておかしかったしwね、本当はお母さんと他の事してたんじゃないの?w」

俺「ほ、他の事って・・・」

由香「えー、それを中学1年生に言わせるの?w」

嘘つけお前絶対中学生じゃないだろ!小悪魔!

俺「・・・」

由香「女の子が好きな男の子の前でお化粧落とす場合なんて限られてると思うけどなぁ♪」

俺「いや、ない!それは無い!本当にただ、君の勉強について相談してただけだ!」

由香「まあ、お母さんもタッ君も一生懸命隠したい気持ちは解るけどねw私は別に良いと思うよ、お父さんも浮気してるしね♪」

俺「えっ?!知って・・」

はっ!しまった・・・。
俺がその事を知ってちゃおかしいだろ!!俺の馬鹿!!
俺の反応にニヤリと笑う由香ちゃん。

由香「お母さんに聞いたんだwふーんwあの人そんな事も相談してたんだwふーんw」

俺「いや、話の流れで・・それより由香ちゃんは知ってたのかい?」

由香「うん、お母さんより先に気がついてたよw」

俺「な、なんで?」

由香「ふふ、何ででしょうw」

この子はこんな事すらこんな風に話せるのか・・・。

由香「それはね、私がお父さんの浮気相手だからよw」

俺「な、なにいいいいいい!!!」

由香「キャハハハwタッ君面白いwすぐ本気にするw」

俺「そ、それも嘘か?!」

由香「嘘嘘w私あんなおっさんタイプじゃないしwもう本気にしないでよwそんなのマジキモイからwありえないってw」

俺「おっさんって実のお父さんだろ・・・」

由香「まあねwでも私達を裏切って他の女の所に行くような人、どうでもいいと思わない?マジ最悪、浮気相手の女見たことあるけど超ケバイの、凄い趣味悪いし」

俺「一体どこで・・・」

由香「うん偶然なんだけどねwお母さんのカード使って友達とちょっと学校抜け出して遠出して買い物してたんだwそれでナンパされたから男の子達とカラオケ行ったの。でもその男の子達、ヤル事ばっかなの。人の歌聞いてくれないんだよね、最悪でしょ?」

俺「・・・」

由香「んで、ウザくなってきたからトイレ行くふりしてエスケープしたわけ。そしたらさ別の部屋からその女とお父さんが出てきたわけよ。腕なんか組んじゃってね。私に気が付いて咄嗟に手を振りほどいたけど、隣の女は私のこと知らないからしつこく擦り寄っちゃってw大体、あなた今海外で、帰ってくるのは1週間くらい早くないですか?って感じだから誤魔化しても無駄だよね」

俺「それで・・・どうしたんだ?」

由香「別に、私も友達と一緒だったし、他人のふりして別れたよ。恥ずかしいじゃん、言いふらされると困るし」

俺「何ですぐお母さんに言わなかったの?」

由香「お母さんに言おうと思ったんだけどね、その後すぐお母さんも気がついたみたいだったし、遊び歩いてるの怒られるの面倒だったから黙っておいたんだ。それにさ、お母さんも娘の狙ってる男の子にお熱だし、いい気味だと思ったし」

俺「・・・」

由香「やっぱり親子だからかなぁw男の趣味って似ちゃうのかもねw」

俺「いや、俺とお母さんはそんな関係じゃ・・・」

由香「まあまあwいいからいいからw」

俺「いや、良くないだろ・・・」

由香「もータッ君、往生際悪いよwお母さんとお父さんが今日どこかで会って話し合いしてるのは本当だよ。なんか隠してるつもりみたいだけどバレバレだし。良かったねタッ君、お母さん達別れるつもりだよ」

この子は何がそんなに楽しいのだろうか・・・。

俺「いや、そんなこと良いとか悪いとかって言うことじゃないだろ・・・。由香ちゃんは悲しくないのか?」

由香「うーん・・元々お父さんって家にほとんど居ない仕事人間だったし、お母さんと私って似てるから、似た者同士でなかなか上手くいかないんだよね。お父さんが浮気してるの知って、なんか納得しちゃったっていうか」

俺「納得?」

由香「そう、あーこんなものかなってね。そりゃちょっと悲しかったけど、すぐにどうでも良くなったよ。だってどうなってもお父さんは私にとってはお父さんだし、お母さんもお母さんだし、別に変わらないと思わない?」

俺「わからない・・・」

由香「まあ、タッ君にはわからないかもねwふふwとにかく私は別に良いと思うよwタッ君とお母さんがそんな風になっててもねw」

俺「それを言いたくて今日はあんな嘘までついたのかい?」

由香「うーん、そういうわけでもないんだけどw」

俺「まだなんかあるの?」

由香「うーんwだって悔しくない?」

俺「悔しい?なにが?」

由香「だって好きな男の子をお母さんにとられるってさ、悔しいじゃん」

俺「・・・」

由香「タッ君って年上好きなんだね」

俺「別にそういうわけじゃないけど・・・」

由香「じゃあ、お母さんが特別なんだ」

俺「・・・」

由香「私とお母さんって似てるよね?まあ、親子だからね、見た目は良く似ていると思うよ」

これは認めるところだ、この親子は見た目はそっくりだ。
あと何年かして由香ちゃんがもう少し大人っぽくなったら姉妹と間違われるかもしれない。

由香「お母さんと結婚するの?」

俺「いや・・・それは・・・」

それはない気がする・・・。
今の所そんな甲斐性は俺には無いし、何より順子さんがうんとは言わない気がする・・・。

由香「まあね、歳が違いすぎるもん、さすがに無理でしょwお母さん確かに娘の目から見ても今は美人で綺麗だけど、あと何年もしたらさすがにねw無理があるよwね、お母さんと別れてさ、私と付き合わない?」

うふっと可愛く上目遣いで胸を寄せてあげるようなポーズ。

俺「はあ?なんでそんな事になるんだ!?」

由香「だって私、お母さん似だし、そのうちお母さんみたいになるよw」

俺「見た目はそうかもしれないけど・・俺と君じゃ歳が違いすぎるだろ、君には君にぴった・・・」

由香「はあ?何言ってんのタッ君、歳のこと言い出したらタッ君とお母さんの方がよっぽど無理あるじゃん!中学生と大人が付き合うとロリコンがどうとか大人は言うけど、私だってそこまで子供じゃなし、私の周りだって大学生と付き合ってる先輩とか同級生いるよ?常識じゃん」

俺「いや、確かにそんな奴俺の知り合いでもいるけど・・・でも・・・俺は一応家庭教師として・・・」

由香「やめる!」

俺「えっ・・・」

由香「じゃあ家庭教師やめる!」

俺「いや、それは困る・・・」

由香「何が困るの?お母さんと会えなくなるから?」

俺「いや・・・そうじゃない・・・俺は・・・」

由香「じゃあさ、こうしよ!」

良いことを思いついたような感じで由香ちゃんが言う。

由香「あのね、付き合ってくれなくてもいいから、時々デートに連れて行って」

俺「はあ?いや、それおかしいでしょ」

由香「おかしくないよ。私とタッ君は付き合ってない、でも顔見知りだから友達でしょ。友達と遊びに行くのはおかしくないじゃん」

俺「今、デートって言ったじゃないか、それに俺と君は先生と生徒・・・」

由香「その生徒のお母さんとイケナイ事したのは誰かなぁ?」

俺「ぐっ・・・」

由香「タッ君、そろそろ観念した方が良いぞよ」

殿様みたいな言い方をする由香ちゃん。

俺「誰よそれ・・・」

由香「ねー良いじゃない、デートしようデート」

俺「・・・」

これは、もう仕方ないのか・・・。

俺「わかった・・・遊びに行くくらいなら良いよ・・・」

由香「やりぃw」

由香ちゃんが飛び跳ねる。

由香「じゃあ約束のチューして」

俺「はあ?!遊びに行くだけだろ!」

由香「だめ、何か信用できる事してくれないと信用できない!」

俺「ほ・・・」

由香「頬っぺたとか言ったら怒るよ」

俺「・・・わかった・・・」

由香「あ、ちなみにファーストキスだから気持ち込めて良い思い出にしてねw」

俺「嘘だろ・・・」

とても信じられない・・・。

由香「あー傷つくなぁ・・・本当だよ・・・」

俺「ごめん・・・」

由香「ふふwタッ君のそういうところ好きよ♪」

俺「キス・・・するぞ・・・」

由香「うんw」

そう言うと由香ちゃんは玄関に立つ俺のそばにやって来て、両手で俺の左右の腕を掴むとつま先立ちして目を閉じた。
言われた通り出来る限りロマンチックを意識してキスした。

由香「ふふふwキスしちゃったーwタッ君と初キスwありがとうタッ君、デート楽しみにしてるからね!今日はありがとう!バイバイ!」

そう言うとささーっと二階に上がって行ってしまった。

(なんだったんだ・・・)

そう思いながら玄関のドアを開く。
すると見知らぬおじさんがちょうどドアの前に立ったところだった。

「どちら様ですか?」

その見知らぬスーツ姿のおじさんは俺を見てそう言った。

俺「えっいや、俺は・・・」

順子「あら、先生どうかされましたか?」

おじさんの後ろから聞き慣れた声がした。

俺「あ、じゅ、由香ちゃんのお母さん、どうもこんにちわ」

旦那「順子、この方は?」

順子「由香の家庭教師の先生よ、言ったでしょ。もう1年も来て頂いているのよ」

旦那「そうですか、由香がお世話になっております」

俺「はい、こちら、こそ」

俺が挨拶するのを待たず、そのまま玄関の中に引っ込んでしまった。

俺「あの・・・なんか俺まずい事・・・」

順子「ごめんなさい、ああいう人なの」

順子さんは静かに首を左右に振る。

順子「それより、今日はどうしたの?」

急にいつものお母さんからあの日の順子さんの顔になる。

俺「いえ、由香ちゃんから今日電話が来て・・・」

かい摘んで今日の出来事を話す。
旦那さんの浮気に気がついていた事や、それを順子さんにわざと黙っていた事は伏せた。

順子「あの子そんなことを・・・。ごめんなさい・・・タクヤ君に迷惑かけてしまったわね・・・」

俺「いえ・・・別にいいですけど・・・でも本当に良いんでしょうか?」

順子「なに?」

柔らかい表情で首をかしげて上目遣い・・・。
由香ちゃんと同じ仕草だけど、順子さんのそれは年齢と共に積み重ねた色々なものが滲み出ているように思えた。
どこまでも柔らかい表情と声・・・とても安心する。

俺「いえ、仮にも中学生の生徒さんとデートなんて・・・親御さんとしては・・・」

順子「ぷっwタクヤ君のそういうところ好きよw」

俺「え・・・笑わなくても良いじゃないですか・・・」

順子「ごめんなさいwふふふw」

ふふふと旦那さんに聞こえないように気を遣って静かに笑う順子さん。
改めてみると今日の順子さんはいつもより大胆な服を着ている。

俺「ひどいなぁ・・・これじゃあ真剣に悩んでる俺が馬鹿みたいじゃないですか・・・」

順子「ふふ、ごめんね、今日は本当最悪の日だったから、タクヤ君の顔見たら嬉しくてw」

そういう風に言われると急に嬉しくなる・・・俺って単純だ。

順子「タクヤ君が良いなら遊んであげて頂戴」

俺「本当に良いんですか?」

順子「いいわよ、あなたのこと信用してるしね。どこの誰かもわからない男と遊び歩かれるより、親としては安心じゃなくて?」

俺「いや、そういう事じゃなくて・・・。その・・・つまり・・・」

お母さんとしては良いのかもしれない・・・先生として信用されてる、それはいい。
でも、俺が本当に聞きたい事はそういう事じゃない。

順子「ああ・・・そういうこと・・・ふふw」

俺「また笑ってるし・・」

順子「ごめんねw私そう言えばタクヤ君の彼女だったわねw」

その一言で天国に上りそうな俺の気持ちが理解して貰えるだろうか。
順子さんが俺の彼女・・・なんて嬉しい響きだろうか。
有耶無耶な関係に一筋の光明が差し込んだように思えた。

順子「そうね、一応、私達そういう関係だったわよね」

その一言で地獄に落ちた。

俺「・・・一応ですか?」

順子「やだ、ごめんなさい、今のは酷いわよね・・・ごめんなさい」

失言だったと思ったのか、急に不安げになって俺の手を掴んで謝ってくる順子さん。

俺「いえ・・・別に・・・」

順子「本当ごめんね・・・あなたの事は世界一大好きよ・・・。家族が居なきゃ、今ここですぐにでもあなたとキスしたいと思ってるのよ?私の気持ち、お魚みたいに綺麗に開いてあなたに見せてあげれたら良いんだけど」

頭の中で綺麗に捌いてひらきになった魚が思い浮かんだ。
確かにそんな風に全部相手に気持ちが見せられたらどんなに良いだろうか・・・。

順子「とにかく私はあなたを信じてるの、それこそ色んな意味でね。だからあの子の事も任せられるの」

キュッと手を握ってくれる。
でも目線は窓の方を見てご主人への警戒も怠らない。

順子「あの子は小さい頃から一人で自由にしてきたから、もう私の言うことも主人の言うことも聞かないの。親として情けないけど・・・。それにあの子が私とあなたの事を怪しんでるなら、なおさら私の言うことなんて聞きはしないわ・・・。見た目はまだまだ子供だけど、あの子は私とあの人の子だから最近は何を考えてるかわからないの・・・。それに今はあの人との事でいっぱいいっぱいよ・・・」

二階に目をやりながら溜息をつく順子さん。

俺「でも、キスとかはまずかったですよね、やっぱり・・・」

順子「ふふw由香とのお子様チューくらい。その後、何倍も2人っきりの時にしてくれれば良いわw」

人差し指を俺の胸の上でくるくるとなぞって上目遣い。
そこで俺の後ろで再びガチャと玄関の扉が開き旦那さんが顔を出した。

旦那「おい、いつまで話してるんだ。先生にもご迷惑だろ」

旦那さんは明らかに不機嫌だった。

順子「はいはい、あなたは興味ないでしょうけど、由香の成績のことで色々相談してたのよ」

さっきまでの柔らかい表情とは裏腹に明らかに敵意のある表情だった。
不道徳だけどやっぱり優越感を感じずにはいられなかった。
順子さんにとって旦那さんはもうそういう存在ではないと思えた。

旦那「おい、先生の前でそんなこと!」

順子「わかったから少し待ってちょうだい!」

きっぱりと強い口調で言われた旦那さんはまだ何か言いたそうだったがスゴスゴと玄関を閉めた。

順子「いつもあんな感じなのよ、外面だけは気にするんだから・・・」

険しい表情を解いて俺の方に柔らかいいつもの顔で順子さんが言う。

俺「あの、じゃあ俺も今日はそろそろ帰ります」

順子「あ、そうねごめんなさい・・・今日はバタバタしちゃってて。今から話し合いなの・・・頭痛いわ」

俺「?」

順子「私達、離婚することにしたのよ」

俺「えっ?」

順子「というより離婚したいと私は思ってるんだけどね。あの人は別れたくないみたいだけど」

俺「旦那さんは順子さんの事まだ・・・」

順子「違うわよ、少なくとも半分以上は体面よ。とにかく今日はゆっくり話が出来そうにないの、ごめんなさいね」

俺「いえ、じゃあこれで」

順子「ええ、気をつけて帰ってね。送ってあげれなくて御免なさいね」

そう言って俺は順子さんと由香ちゃんの家を後にした。
俺が角を曲がるまで順子さんは手を振ってくれていた。

<続く>

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