肝心なところで俺の体に起こった異変[前編]

この体験談は約 7 分で読めます。

いきなりですが、高校時代の思い出をば。

高校2年の春、俺が友人たち数人と廊下で喋っていると、向こうから一人の女がズカズカとやって来て、俺の前に立ちはだかり、「ねえ、あんたが◯◯?」と、俺の名前を不躾に聞いてきた。

「え、そうだけど」

とっさの事に俺は気圧されて、間の抜けた返事をすると、その女は、「ふ~ん」と言いながら、真顔で俺の頭からつま先までをジロジロと見て、「なるほど。んじゃ、そういうことで」と言って立ち去っていった。
俺も友人たちも彼女の後ろ姿を見ながら、しばらく呆然とした。

「何だ、ありゃ?」と、俺が言うと、「お前に気があるんじゃないのか?」などと友人たちにからかわれた。

この女、2組の香というやつだった。
それ以来、何かと俺につきまとってくる。
俺が2組の前を通れば、「お~い」と叫んで教室の中から大きく手を振ってくる。
当然、皆から一斉に注目されるし、一緒にいる友人たちからは冷やかされるし、初めの頃は本当に迷惑だった。
しかし徐々に慣れてきて、内心満更でもなくなった。
周りの手前、素っ気なく振舞ってはいたけれど。

香は家に電話までかけてきた。
母親が「女の子からよ」と妙な笑みを浮かべ取り次いでくれた。
電話で香には、俺の身長やら体重やら趣味やら、ごっそり聞かれた。
俺は母親の視線を背中に感じながら、小声でいつも以上にぶっきらぼうに答えたものだった。

香は背がそこそこ高く、スリムな体型。
ずば抜けて可愛いワケではないが、愛嬌のある顔だった。
うるさく厚かましく、少々鬱陶しいところがあるが、本人はマイペースだ。
それでいて言動にどことなくエッチな雰囲気があった。
悪い言い方すれば品がないんだが。

俺はそれまで一度も女の子と付き合った事なかった。
そしてこういうふうに女の子に積極的にされた事もない。

「おい、あいつお前のこと好きなんだって。付き合っちゃえよ」

香が俺に何かしてくるたびに、俺は友人達からこう言ってからかわれた。

そのうち段々と俺もその気になってきていた。
オナニーなんかは香のことを考えながらするようになった。
香のあれやこれ、いやらしいことを想像した。
だけど周りには気取られないように、興味ないふりをしていた。
自分からは動かず、いつも香からのアクション待ちだった。
友人たちの手前、やっぱり照れがあったのだ。

そんな香からある日ついに体育館の裏に呼び出された。

「ねえねえ、あんた、ほんっとに付き合ってる人とかいないんだよね?」

これは今まで何度も聞かれたことだが、この日もしつこく念を押された。

放課後、俺は妄想を膨らませつつ、友人の目を欺き、体育館の裏へと行った。
しばらく待っていると、香がやってきた。
香は一人じゃなかった。
隣にもう一人女の子を連れていた。
そういえば、いつも香と一緒にいる子だが、でもあまり印象が無い。
香も一人じゃ恥ずかしいから、立会人でも連れてきたんだろうか。

「で、何の用?」

俺はしらじらしく香に聞いた。
すると香は隣にいる女の子に・・・。

「ほら、◯◯来てくれたよ。言っちゃいなよ~」

するとその女の子はしばらくモジモジしていたが、「あの・・・私、実は・・・前から◯◯君のことが好きで・・・」と顔を真っ赤にして、そこまで言ってまた黙ってしまい、香の方を助けを求めるような目で見た。

「ほら」と香はその子の背中を軽く押す。

「あの・・・もしよかったら、私と付き合って下さい」

その子はそう言うと、今にも泣き出しそうな顔で俯いてしまった。

俺は、そういう事だったのか、とすべてを悟った。
今まで香が俺に付きまとっていたのは、この内気な子の為に調査をしていたのか。

香はその子の肩をよしよしといった感じで抱き、俺に、「ね、こう言ってるじゃん。こんないい子いないよ。付き合いなよ~」とフォローを入れてきた。
そして畳み掛けるように言う。

「あんたも教室の前通る時、いつもこの子のこと見てたじゃん。ね、ね」

いや、悪いけど俺はその子の方は見ていない。
お前が派手に手を振るからそっちを見ていただけだ。

だけど、この場でそんなこと言えるはずもない。
俺はしばらく口の中でもごもご言っていたが、最終的には押し切られ、この子と付き合うことになってしまった。
この子、名前を久恵と言った。
この日、初めてその名を知った。

俺は久恵についてよく知らなかったのだが、久恵と同じ中学出身の友人に言わすと、結構人気があったそうな。
大人しく、背も小さくて、素朴な可愛らしさをもっている。
香とは全く正反対の控え目な性格だ。
友人に言わすとお嫁さんにしたいタイプ、ナンバー1だそうな。

「久恵ちゃんは俺が守ってやるから、お前は香とでも付き合え」なんて友人にやっかみ半分そう言われたものだ。

この日から俺と久恵との清いお付き合いが始まった。
毎日、俺と久恵と香の三人で一緒に帰った。
それまで一緒に下校していた友人たちからは、裏切り者と後ろ指を指されたが。

学校から見て、俺の家と、二人の家の方角は全く逆だ。
俺は自転車通学で、彼女たちは徒歩だ。
俺は自転車を押しながら歩いて二人を家まで送った後、自転車に乗り一人で家まで帰る。
結構な遠回りだったが、付き合うってこういう事なんだろうと思った。

久恵は筋金入りの内気な子で、なかなか自分から話しかけてこない。
俺が気を使って色々話すのだが、それについての答えは返ってくるが、それ以上の広がりはなく、また無言になってしまう。
ホント困ったが、こういうときに香の存在は役に立った。
久恵も香にはよく喋るし、自然と俺も久恵より香によく話しかける。
だから香を通して、俺と久恵はコミュニケーションをとっているような形になった。
だから久恵と二人でデートの時など気まずくて、俺は息が詰まりそうだった。
久恵ははたして満足しているのだろうか。

俺はオクテだし、久恵も大人しい。
エッチな関係にはならなかった。
彼女が出来たとは言え、俺は相変わらず一人でオナニーする日々が続いた。
一応、久恵のことを考えてしてみたが、想像が湧いてこないし、興奮が得られない。
なんだかんだでオナニーの時に思い浮かぶのは、いつも香だった。

さて、そんなある日、久恵が熱を出して学校を休んだので、学校帰りに香と二人で久恵の家へ見舞いに行くことにした。
久恵の家へ向かう途中ふと思ったが、香と二人きりで歩くのって初めてだ。
なんとなく嬉しかった。
話も妙に弾んだ。
話題もいつもと違う。
この日の香は下ネタが多かった。
いつもは久恵と一緒だから控えているのか。

久恵の家に着き、部屋に通された。
女の子の部屋は初めてだ。
久恵はパジャマ姿。
可愛いなあ、とは思った。
熱で辛そうだったので、用件を済まし、すぐにおいとました。

久恵の家から出た後、何故か香が、「うち寄ってく?」と言うから香の家にも寄って行った。
久恵の家のすぐ近くだ。
部屋にはあげてもらったが、一分もしないうちに追い出された。
自分で呼んでおいてそれはないだろうと、帰りに一人思った。

翌日も久恵は休みだった。
久々に俺は友人たちと帰ろうとしたのだが、香に捕まった。
友人たちは意味ありげに笑い、俺を置いてさっさと帰ってしまった。

「帰るの?一緒に帰ろっか」
「嫌だよ。家逆だろ。それとも今日も久恵んちに見舞い?」

「う~ん、あんたが行きたいならついていってもいいよ。どうせ一人じゃ行きづらいんでしょ?」
「いや、いい。帰る」

「冷たいんだー。あ、そうだ。よし、今からあんたんち行こう」

俺は正直ドキッとしたが、平静を装い・・・。

「ついてくるなよ」
「行く。昨日、久恵と私の部屋入ったんだから、今日はあんたんち」

「じゃあ、久恵が治ってから二人で来いよ」
「ん~。その時は私がいたら邪魔だろうから、今日は偵察を兼ねて先に」

「何なんだ、その理屈は・・・」

そう言いつつ俺の心はウキウキした。

ただ、香と二人で俺の家に行く所は人に見られてはいかんと思った。
自転車の後ろに香を乗せてこそこそと帰った。
俺にしがみつく香の胸が背中に触れる。
柔らかい。

俺の部屋での香の暴れっぷりには困った。

「ぎゃーぎゃー、何これー!」と騒ぎながら勝手に机の引き出し開けたり、押し入れ覗いたり。

「やめろって」と香の手を掴むと、「あははは」と異様なテンションで俺にもたれかかってくる。
香からはいい匂いがするし、さっきの自転車のこともあって、俺はムラッときたが、とりあえずは抑えた。
ちなみに両親は共に仕事で夜まで帰ってこない。

香はベッドに腰掛け、辺りをきょろきょろ見渡しながら、「ふ~ん」と、しきりに関心していた。

「どうした?」

「べっつにー。結構片付いてるなーと思って」

そう言うと香はベッドの下を覗きだした。

「おい。何やってんだよ」

「男の人ってえっちな本、ベッドの下に隠すんでしょ?」
「隠してねえよ」

「隠してる」
「隠してない」

香はベッドの下を丹念に探し始めた。
四つん這いになってベッドの下を覗き込む。
お尻だけを突き出した体勢だ。
そのお尻を見ていると、俺は香とバックでやっているのを連想してしまった。
チンコがムズムズきた。
香を後ろから犯しそうになった。

「つまんなーい。えっちな本どこに隠してるの?」

その言葉でハッと我に返った。

「隠してないよ。持ってないもん」

「え~嘘だ~」
「ホント」

「・・・じゃあ、どうしてるの?」
「は?何が・・・?」

「何がって・・・ねえ・・・ナニじゃん」
「・・・」

「あ、分かった。久恵のこと考えてしてるんだー」

香は普段からおかしい奴だが、この日はいつもとは違ったおかしさだった。

「してるんでしょ?久恵のこと考えて。ね、ね?」
「してないって。久恵は何と言うか、そういうんじゃないんだよ。エッチなこと想像できないって言うか・・・」

「へえ~、よく分からないけど、久恵のこと大事に思ってるんだ。じゃ、ずっと我慢してるわけだね」
「いや、ちゃんと抜いてるけど・・・」

「ええ~、何で何で?よく分からな~い」
「ま、一人でする時はもっぱら香のこと考えてるよ」

これは嘘ではない。
が、冗談っぽく言ってみた。
香は固まった。

しばらく黙っていたが、「ま、また~。やらしぃ~」と言って笑った。

明らかに動揺している。
たじろぐ香を見て俺は調子に乗った。

「いや、ホントホント。毎晩毎晩、香のいやらしいの想像して、してる」と言って右手を上下に動かした。

香は恥ずかしがって俯き、上目遣いで俺を無言のまま見つめてきた。
俺もその香の表情に息を呑んだ。

<続く>

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