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私には兄がいます。
もう何年も会っていません。
あの日からずっと顔を見ていない兄がいます。
その日、両親は外泊し、家の中には兄と私の2人だけでした。
私の作った夕食を喜んでくれた後、兄は私のために甘いカフェオレを入れてくれました。
とても優しい兄でした。
本当に大好きでした。
初めて2人きりで過ごすことで、兄のことを独り占めしたような気分でした。
私はもっと話がしたいと思い、入浴した後に兄の部屋に行きました。
「お兄ちゃん、お風呂沸いたよ」
ベッドに横になって雑誌に夢中になっている兄は、私が話しかけても上の空でした。
ただ、兄に甘えたかった私は小さい頃によくしたように、ふざけて兄の背中に飛び乗りました。
「痛えっ・・・重いから早く下りろ、このデブ!」
少し怒ったような口調で兄が言いました。
「なによぉ、男のくせにだらしないわね」
「そういう生意気なことを言う奴はこうしてやる」
私をはねのけると子供の頃のようにプロレスの技をかけてきました。
「きゃーゴメンナサイ、ゴメンナサイ」
あの頃から変わらない優しい笑顔。
これからもずっと変わらないと信じていた兄の存在。
でもそれは違っていました。
「真由美は・・・俺のことが嫌いか?」
兄は私を背中側から抱き締めると静かに囁きました。
「ううん・・・お兄ちゃん・・・大好き」
普段通りの兄でしたら何の迷いもなく私はそう答えていたと思います。
その時のあまりにも深刻な光を宿した兄の眼差しは妹に向けられたものではありませんでした。
兄は私の太ももを触るとスカートの中に手を滑らせてきました。
「やめて」
ゾッとするその手つきに思わず悲鳴をあげると、私は両手で兄を突き飛ばしていました。
その場から逃げるため急いで立ちあがろうとした時、何かが破れるような音と同時に強い力でベッドに引き戻されました。
一瞬、何が起こったのか理解できずに後ろを振り向くと、スカートがストッパーのあたりから引き裂かれ、下着が剥き出しになっていました。
みるみるうちに顔が熱くなるのがわかりました。
ブラウスの裾を両手で伸ばし隠そうとする私に馬乗りになってきた兄はショーツの端に手をかけました。
「やだ・・・ヤダァッ」
声が震えて言葉になりませんでした。
その手を掴み必死に抵抗しましたが男の人の力に敵うはずもなく、あっという間に足首から引き抜かれたショーツは床に投げ捨てられてしまいました。
その後、下半身を露わにした兄は私の両膝を押し開くと、その間に身体を割り込ませてきました。
それが何を意味するのか、まだ中学生だった私にも容易に理解できました。
出せる限りの声で泣き叫び、兄の顔に爪を立てて抵抗しました。
それでも兄は私のブラウスを引き裂き、ブラをむしりとると、今まで見せたことのない怖い顔で言いました。
「兄ちゃんの言うことが聞けないのか」
暴力はもちろん、私に大きな声でさえあげたことがなかった兄の信じられない言葉にしばらく呆然としました。
そして、私の中をメリメリと押し広げながら兄のモノが入ってきました。
お腹の中を引き裂くような痛みと胸を締めつけるような別の痛みに心が押しつぶされそうでした。
目の前で動く兄の顔が滲んで見えませんでした。
悪夢のような時間が過ぎ去った後、私はシーツに顔を埋めて泣いていました。
でも、過酷な現実はまだ終わりませんでした。
「もっと、やらせろよ」
兄の残酷な言葉に目の前が暗くなりました。
(大人しくしていれば、すぐ終わる)
そう考えた私はされるがままにしていました。
ぼんやりと天井を見つめる私に兄は覆い被さるとキスをしてきました。
(せっかくのファーストキスなのに・・・)
悲しい気持ちになっていると・・・。
「真由美、舌を絡ませろよっ」
そう言って私の唇を割って舌を入れてきました。
そして私の舌を自分の口内に招き入れると、時間をかけて何度も弄びました。
首筋や胸元を唇や舌が何か別の生き物のように這いまわりました。
身体中を唾液で汚されていくたびに、背筋に悪寒が走り、全身の産毛が逆立ちました。
永遠に続くと感じられた数分間も再び襲ってきたあの激痛によって遮られました。
今度の動きはゆっくりと私の身体の中を深くえぐりました。
「温かい・・・真由美の中、すごく気持ちいいよぉ」
耳元で荒い息遣いと何かに取り憑かれたような声がすると、兄が再び唇を求めてきました。
舌を絡められるたびにお腹の中で兄のモノが脈打ち、骨が軋むくらい強く抱き締められるとかすんだ天井が激しく揺れだしました。
それから兄は私の背中を掻き毟ると何かを叫んで動かなくなりました。
(終わったの?・・・やっとここから出られる?)
乱れる息を整えながら兄がベッドから出ていくのを待ちました。
でも、兄の仕打ちはこれだけでは済みませんでした。
普通にするだけでは満足できなくなったのか、私の口に無理やり性器を入れられました。
身の毛もよだつ行為に全身から冷たい汗が噴き出し、膝がガタガタと震えました。
血の味がするそれは舌の上でうごめくと、口の中に入りきれないほど大きく硬くなりました。
醜悪な黒い茂みに鼻先が包まれると、それは喉の奥まで入ってきました。
胃の中のものが逆流しそうになる苦痛と嫌悪感。
兄が腰を動かすたびに振動が伝わり、口から溢れ出した唾が涙と一緒に辺りに飛び散りました。
「苦しい、やめてぇっ」
声にならない悲鳴をあげて哀願しても、兄は容赦なく私の口を犯し続けました。
そして腰の動きが止まると同時に例えようのない味と臭いが口の中に広がり、耐え切れなくなった私は硬さを失ったモノを口から離して藻掻きました。
髪の毛を掴まれ上を向かされると、信じられないことに兄は自分で性器を激しく弄っていました。
思わず目を閉じた私の顔に生温かいものがボトボトと落ちてきます。
すぐに俯き、口の中のものを吐き出すと、自分のお尻の下が濡れていることに気づきました。
私はショックで失禁していたのです。
その姿が惨め過ぎて、このまま消えてなくなってしまいたくて、私は声をあげて泣きました。
どれくらい時間が経ったのでしょうか。
(誰にも言えない、隠さなきゃ)
そう思った私は血の着いたシーツを持って部屋を出ました。
冷水なのか熱湯なのか分からないままシャワーを浴びました。
身体中に付いた小さな痣や爪痕を血が滲むまでタオルで擦りました。
その場で何度も吐きました。
そして布団に潜り込み、膝を抱えて朝まで震えていました。
次の日、母親が色々と聞いてきましたが・・・。
「なんでもない、ちょっと喧嘩しただけ・・・」
そう言って、あの出来事を胸の奥に仕舞い込みました。
(話してしまえばお父さんもお母さんもみんな不幸になってしまう)
そう考えたからです。
それから数日後、兄は家から出ていきました。
部屋を借りて、そこから大学に通うようでした。
出て行くとき私に見せた最後の表情が今でも忘れられません。
それから私は苦しみました。
男の人が怖くて、全てが信じられなくて・・・。
ずっと長い間、苦しみました。
それでも今、私には付き合っている人がいます。
その人は私の全てを受け止めてくれました。
彼に出会っていなかったら今頃どうなっていたか分かりません。
「忘れてしまえ」
そう言いますが、彼の優しさに触れるたび、同じように優しかったあの頃の兄の姿を思い出してしまいます。
(どうしても忘れられないのなら、兄が私にしたことを全て許してあげよう)
そう思うようになりました。
(そのほうが楽になれる)
そう思ったからです。
最近になって思うことですが、あの時、黙って出ていった兄は本当は何か言いたかったのではないかと思います。
『真由美・・・ごめんな』
きっとそう言いたかったんだと思います。
あんなに私のことを大切にしてくれた兄のことですから。
大好きだった兄のことですから、きっとそう言いたかったんだと思います。
ちゃんと元気にしているのか、幸せなのか、少しだけ気にかかります。
だから、もし会える日が来たら・・・。
「久しぶり、お兄ちゃん」
そう言ってあげたいと思います。