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大学3年次のサークルの夏合宿の話を記憶を頼りにまとめてみる。
すでにほろ酔い気分なので誤字脱字は気にしないで欲しい。
俺は1学年下の沙希が入部当初から気になっていた。
沙希のサバサバした性格と物怖じしない態度がサークル内でも評価が分かれることがあったが、俺はそんな快活な沙希に惹かれていった。
ある時、飲み会の席で恋愛観の話になった。
「こんな性格だから長く続かないんですよねー。すぐに愛想尽かされちゃうし」
沙希はため息をつきながら言った。
「よっぽど相手が大人じゃないと続かないよなw大人でも無理かw」
「カズ先輩(俺)ひどくないですかー、その言い方」
だんだんと俺たちは腹を割って話せる先輩後輩の関係になっていったと思う。
だが俺の一方通行な恋心も2年次の冬休みに終わりを迎える。
同期のコウヘイと沙希が腕を組みながら歩いているのを目撃してしまったからだ。
コウヘイはイケメンで面倒見もよく、サークル内での信頼も厚い。
少し女癖が悪いとはいえ、そんなコウヘイに惹かれるのは仕方がないことだろう。
俺とコウヘイは入部当時からウマが合い、気の置けない友人関係になっていた。
コウヘイに先を越されたことは自分の不甲斐なさを差し置いても胸が苦しかった。
2人の付き合いは沙希から告白したようだった。
コウヘイの派手な女性遍歴や沙希の勝気な性格から鑑みてすぐに終わりを迎えるかと思いきや、喧嘩もかなりあったようだが意外にも関係は続いていった。
俺は沙希に対してコウヘイとの関係を表面上は応援してはいたが、幸せそうな表情を見るたびに胸が締めつけられる日々が続いていた。
前置きが長くなったが、そんな背景を含めた夏合宿の話である。
夏合宿に参加したのは、俺や沙希を含むサークルの有志約40名。
毎年俺と共に参加していたコウヘイはバイトのため欠席だった。
ちなみに『合宿』と称しているが、ただ遊ぶ名目をつけているだけの旅行であった。
到着後、先輩につかまって昼からビールを飲みつつ麻雀を打っていた俺は沙希に冷ややかな視線を向けられたりしながら夜を迎えることとなった。
そして簡単な食事の後、壮大な酒盛りが始まった。
最初は一丸となっていたが、夜も更けるにつれだんだんとバラバラになっていく。
俺も同期とゆったり飲んだあと後輩たちにたくさん飲まされたりして、そもそも昼から飲んでいたせいか例年のように介抱に回る余裕もなかった。
そんな状態でフラフラとトイレへ向かった帰りに、ほろ酔い気味の沙希に出会った。
「せんぱーい。大丈夫ですかー」
「・・・何とかな。沙希こそ真っ赤だぞ」
「あはははは。だいぶ飲んだしねー。ちょっと休憩しましょうよ」
そう言って沙希はロビーにあったソファーに腰掛けた。
俺も横に座りしばらく話をしていると、通りかかった同期のコウジが酒場の席に俺を連れ戻しに来た。
「コウジせんぱーい。カズ先輩が気分悪そうなので夜風に当ててきますよー」
すると沙希は俺の手を取って囁いた。
「・・・外、行きましょ」
その柔らかい手を受け、俺たちは外へ出た。
「ゆっくり飲み直しません?」
月明かりに照らされた火照った顔の沙希が言った。
2人は宿泊施設から少し離れた木陰に座った。
周りには誰もいない。
虫の音、木々の触れ合う音。
しばらく他愛もない話をしていたが、いつの間にか沙希とコウヘイの話になっていた。
「コウヘイさんって相変わらず色んな人に手出してますよねー。私というものがありながら」
「でもあいつ沙、希のことを大切にしてると思うよ」
「今日もバイトとか言ってるけど、私が他の人に口説かれるとか考えないのかしら」
「沙希に手を出す物好きな奴はこのサークルにはいねーよw」
「それはどういう意味かしら?」
沙希は笑いながら答える。
夜は深々と更けていく。
「カズ先輩はカノジョとか好きな人とかいないんですかー?」
「いねーよ」
「またまた~。1年のケイコちゃんといい感じだって聞きましたよ~」
「どこからそんな話が湧いてきたんだよw」
色々と話をしていたが、ふとした弾みで会話が途切れた。
その沈黙を破ったのは沙希だった。
「ねえ、カズ先輩」
「ん?」
「・・・私のこと、好きでしょ?」
俺は心臓が飛び出しそうな衝撃を隠し冷静を装って返事をしようとした。
だが、それを遮って沙希が言う。
「コウヘイさんね、私がいる前でも他の女の人と楽しそうに電話したりしてるの」
沙希の顔が近づく。
「嫉妬して何度も喧嘩した」
吐息が耳に掛かる。
「『気に入らないなら別れよう。お前は一途な奴のほうが合ってるかもな』って言われた。『他の奴とは遊びだよ。一応気持ちはお前にある』とも言ってくれたけど・・・。先輩、手、後ろに組んで。絶対に離しちゃダメ。離したらもうお終い」
そう言って俺の手を後ろに回す。
沙希は耳元で囁く。
「私、もっとあの人に嫉妬してもらいたい」
沙希は顔を離し、俺のハーフパンツの上に柔らかいつま先を置く。
「でも、あの人みたいに誰とでも付き合うなんてできない」
「・・・っ」
俺の股間を優しく足先で撫で回す。
沙希は俺の頬を優しく撫でたり、股間を軽く踏みつけたりと俺を弄んだ。
「先輩ってすごくイタズラ心をそそりますよね?」
「っ・・・さ、沙希」
そう言いながら俺のハーフパンツを下ろす。
「ずっと気付いてたよ、先輩の気持ち」
そしてトランクスの上から軽く爪を立てて優しく触れる。
それだけで俺はもう暴発寸前になってしまう。
「も、もう、やめよう」
そういうのが精一杯だった。
「・・・本当に・・・やめて・・・欲しいの?」
潤んだ目の沙希が顔を近づける。
「せんぱい・・・なら・・・いい、よ・・・」
俺は後ろに組んでた手を離して立ち上がり、沙希を抱き締めた。
月明かりに照らされた沙希は奇麗だった。
目を瞑っている沙希にキスをしようとした瞬間、俺の中の最後の理性が歯止めをかけた。
「・・・コウヘイと同じことしちゃダメだろ」
「・・・え?」
「ぶっちゃけ、確かに沙希が好きだよ、俺」
興奮と恥ずかしさが相まって沙希を見ていられなった。
「せっかく沙希が一途にあいつのこと見てるのに、嫉妬させるとか考えちゃダメだろ」
「これ以上のこと、したいけど、俺はコウヘイのことを大事に思ってる」
「すっげー悔しいけど、2人には上手くいって欲しいと思ってる」
「だからもう・・・やめよう」
俺はそう言って抱き締めた腕を離そうとした。
「カズ先輩って、本当に優しいんですね・・・」
震える声で沙希が言い、逆に俺の胸にしがみついてきた。
「ごめん・・・な・・・さ・・・い」
しばらく2人抱き合っていた。
俺も少し泣いた。
沙希が落ち着くまで休んだ後で宿泊施設に戻った俺たちは、ひっそりとそれぞれの部屋に戻って寝た。
翌日からの俺たちの関係は今まで通りの状態に戻った。
俺たちの関係を怪しむ奴もいたようだが、俺に対するあっけらかんとした沙希の態度はすぐに潔白を晴らすこととなった。
沙希とコウヘイの関係は大学卒業まで続いていたが、コウヘイの就職事情により遠距離恋愛になり自然と疎遠になったようだ。
ちなみにコウヘイとは年に1、2回飲みに行く友人関係が続いている。
俺と沙希とは今でも年賀状やメールのやり取りをする先輩後輩の関係のままだ。
先日、沙希から結婚するというメールを受け取ったのであの夏のことを思い出した。
添付画像を見ると真面目そうな旦那だった。
間違いなく尻に敷かれるだろう。
おしまい。
あまりエッチじゃなくてすまん。
なんだか照れくさくなってきたので飲みにでも行ってくる。