オタサーの姫[前編]

この体験談は約 11 分で読めます。

『オタサーの姫』という言葉が流行っている。
男女の不均衡は時に歪な関係を紡ぎ出す。
これはオタサーの姫という言葉が流行るようになる数年前の大学での出来事。

《出会い》
大学1年の俺はオタサーに入った。
・・・が、肌に合わなかった。
まず50人ほどの大型と言っていいサークルで、数人が吹き溜まりのようなところに集まるような雰囲気ではなかったこと。
そして構成員の何人かはいわゆるリア充っぽかったり、普通の女の子っぽい子が2割ほどいたり、オタサーというよりは漫画、ゲーム好きをアピールする人たちの飲みサーっぽい感じだったからだ。

しかし新入生同士でも出会いはある。
肌に合わないと感じて自然と抜けていったのが、俺を含めて5人ほどは確認できた。
全員、雁首並べていかにも冴えない感じだ。
この5人で同好会を作ろうという流れになった。
大切な友人だが、ここに書く名前は適当に『A』『B』『C』『D』としておく。
俺自身が他人に名前を呼ばれるときは『E』で。

それらしい活動内容を大学に提出し、同好会は認められた。
部費や部室等は下りないものの、事前申請して借りたスクリーンのある空き教室でアニメ鑑賞、バカ話や猥談、ボードゲームをしたり漫画の貸し借りなどを満喫していた。

そして2年次の春。
同好の士はやっぱり欲しいので机を出して勧誘を始める。
大規模のオタサーから目をつけられないよう、ひっそりと。
まあそれでも大体は大規模オタサーに取られるわけで、そこからあぶれた数人だけ入れられればそれでいいと思っていた。
ところが、勧誘1日目で3人もの女の子が話を聞きに来てくれたのだ。

俺たちは、「どんな作品やジャンルが好き?」とまず聞く。
アニメなどのオタクとしてメジャーなジャンルなら5人で大体網羅できる。
俺たちの内の誰かが聞いた作品やジャンルに詳しいと、そいつが話をするという寸法だ。
1人ずつスペックを紹介する。

『美姫(ミキ)』
ミニスカ、黒ニーハイ、エナメルのパンプス、フリルだらけの服に黒髪ロングという今でいう完全なオタサーの姫の出で立ち。
顔は女オタクとしては可愛い部類で、体は見る感じ、ちょっと貧乳っぽい。
例に漏れず俺達オタクは、その姿が気になってしまう。
好きなジャンルは俺たちなら誰でも分かる最近の人気アニメや協力型ゲーム。
大型のオタサーを避けてこっちに来た理由は、「人の多いところは怖いから」だった。

『カナ』
美姫の友達。
フツーのJDといったところ。
後で書くが、すぐに退会する。
見た感じは美姫の方が可愛いが、こっちの方が大型オタサーに向いてるように見えるし、実際どっちにしようか迷っているらしい。
好きなジャンルは乙女ゲー。
多少詳しいDが話をしていたが、Dではついていけず、少し退屈そうにしていた。
こっちに来た理由は、「美姫の連れ添い」。

『干菜(ヒナ)』
2人とは別口で見学に来た2年生(つまりタメ)。
黒髪ロングを適当に後ろに纏めた一つ結びで、ファッションというより髪型を誤魔化したり、人と目を合わせないようにするために被ってるっぽい帽子、スニーカー、オシャレでもないメガネ、裾を捲ったダボダボなジーンズに灰迷彩のパーカーという、いかにも『女捨ててます』って感じのファッション。
顔は不細工とは言わないが、その他で損しまくってる、というか気にしてない。
マイペース且つ軽い性格で、その容姿と名前の干物っぷりをよく自虐する。
好きなジャンルはゲーム(レトロ含む)とセルアニメ。
俺と趣味がドンピシャ。
こっちに来た理由は、「どう考えても合わないから」。

2人はその日に即決してくれた。
俺たちは2日目の勧誘を誰ともなしにやめてしまった。
これ以上は大所帯になるとか、アジト代わりの狭い俺の部屋に入らなくなるとか、それらしい理由は付けてたが、俺にはわかった。
みんな、これ以上男を増やしたくないと思っているのだ。
俺もそうであるように。

《変化》
新歓も終わり7人で始まった新生オタサーだが、活動内容がどうにも変わりつつあった。
以前は上述したような色んなことをやってたんだが、女の子2人、というより美姫が入ってからは美姫の知っているアニメのみ鑑賞、漫画の貸し借りというよりは話題のアニメの原作を美姫に貸すのみ、そして多くの時間を携帯機ゲームの協力プレイに費やすようになり、挙句の果てには美姫の出ていない授業のプリントを渡す機会として使ったりもしているようだった。
美姫の好きな音ゲーをやるためだけに全員でゲーセンに行ったりもした。

つまり美姫を楽しませるように俺達が動いてしまっているのである。
一方、干菜はと言うと、彼女もまたこれで満足しているようで、可愛らしい女の子1人チヤホヤされて自分は女としてみなされない状況が彼女にとって都合が良いという理由で、マイペースにやりたいようにやっているらしい。
(もっとも、この理由を聞いたのは後の話だが)

《本音》
1ヶ月ほど過ぎた頃、学食で美姫を見つけた。
どうやら退会した女の子のカナが一緒らしい。
別に最初から聞き耳を立てるつもりはなかったが、近くに座ってるのにバレてないので、少し聞きたくない話も聞こえてしまった。

カナ「で、サークルの方はどうなの?」

美姫「ん~楽しいよ。まあチョロいしw大体好きなようにやらせてくれるからね~w」

カナ「悪女じゃん!サークルの私物化?でも、もう1人女子がいたよね?」

美姫「あの人2回だけど、そーゆー感じじゃないからw別に邪魔にもならないしwてか、カナも見たでしょ?アレには女として負けないわw」

他にも、「めっちゃ脚を見てきてヤバい」とか「ゲーセンにいる時とか必死に話しかけて、周りに女子と一緒に遊んでますアピールをしだすの面白い」とか、聞いてて居た堪れなくなる会話の連続だ。
5人の中で一番距離を置いていた俺ですらそうなんだから、他の4人が聞いたらと思うと・・・。
バレないように俺は学食を後にした。

《分裂》
そこからはあまり美姫をちやほや出来ず、かと言って他のメンバーにも彼女の本音を告発できずに過ごし、そのぶん干菜と過ごす時間が増えた。
美姫側はと言うと、Dがそれまで以上に彼女に近づこうとしているようだ。
このDという男、乙女ゲーやBLにも多少精通しているが、その理由が腐女子と話が出来るようにという欲にまみれたもので、下ネタも大好きな奴だった。
男だけでなら笑い話だが、そんなDが積極的になって動き出したもんだからA、B、Cとしては躍起にならざるを得ない。
彼らが干菜に乗り換えるようなこともなかったが、これはたぶん干菜が外見での性的魅力に乏しく、また仲が良い俺がいることで割って入りづらいという理由だと思われる。

まあ何にしても、3人も干菜に構うことが少なくなり、どんどん二極化していった。
5人と2人という感じである。

《露見》
ある日、授業後に俺の家に行ってゲームしようと干菜が言い始めた。

「新作ゲームを買った」という話をしていたところだったし、了承した。

女が男の家に行くわけだが、俺はそんな間柄ではないと思っていたし、干菜もそうだっただろう。
家のドアを開けた瞬間、冷や汗をかいた。
大学に行く直前にオナニーして、その後洗ったオナホを部屋に干しっぱなしにしていたことを思い出してしまった。
そして、気付いた時にはもう遅かった。
干菜の、「あっ」という声を聞いたときは、もう言い訳も出来なくなっていた。
しかし干菜は干されたオナホを見ても一笑に付して、「あはははw何、オナホってああやって再利用するの?」と笑いをこらえながら質問してきた。

救われたと言うべきか。

「引かないの?」と聞いたら、大っぴらにし辛いというだけで、エロゲや男性向けエロ同人も趣味の範囲内らしい。

つくづく気が合うなと思わされた。

干菜「それにしても、ちゃんと性欲あんだねww美姫ちゃんのことあんま気にかけてないみたいだったから。男の子はああいうコが大好きでしょ?」

言っていいものかと逡巡したが、あの日の学食でのこと、そしてそれを知ってしまったので美姫への恋愛感情はほぼ無いことや、秘密を抱えている悩みまで全て話すことにした。
美姫は干菜を見下しているという一つを除いて。

干菜「へ~。確かにあの子、腹黒そうだもんねw」

ちょっとトゲをチラつかせつつ、干菜は話を聞いてくれた。
家で2人きり、結果オーライで下ネタも話せて、そして秘密や悩みを共有する仲になり、俺と干菜は急接近したと言える。
無意識だったが、ここら辺から異性として惹かれ始めたのかもしれない。

《誘惑》
そこからもう少し経ち、季節は夏。
学生にはレポートや試験が待っている。
サークルとしてみんなで集まるのも自重していたし、男連中や美姫ともSNSで見るだけで実際には会う頻度が下がっていった。
干菜から連絡をもらい、試験対策をしようとみんなで干菜の家へ行くことになった。

7人も入るのかよと思ってたが、俺の家よりかなり広い14畳くらいあったので、ギリギリだが入った。
複数のゲーム機、大きなテレビ、イカついデスクトップPC、漫画だらけの本棚と、俺より男臭い部屋だった・・・。
一つ下の美姫は俺達と被ってる授業自体が少なく、また定期的にプリントを貰っているので暇なようで、「漫画を読ませて下さい」と干菜に話しかけた。
見た感じフレンドリーな態度だが、内心ではあのとき言ったように見下してるんだよなと思うと、女って怖え・・・と思う。

すると突然、美姫が俺の隣、俺と干菜の間に入りこんできて、「へー、これ何の授業ですかー?」などと言って体を寄せてきた。

美姫の格好は、夏ということでガッツリ肩を出した黒のオフショルダー系シャツ(インナーのキャミの肩紐見せ付き)と、下はチェックのティアード・フリルミニスカートと黒ニーソからの安定の絶対領域という、オタク悩殺に特化したものだった。
谷間とかこそないものの、ここまで肌を露出した女の子と密着する機会なんて人生初なもので、やっぱり戸惑いを隠せない。
干菜に目をやると、そんな俺を見てニヤニヤしていて助け舟を出すつもりはない。

そんなのが小1時間続き、トイレのために立とうと地面に手をつこうとしたとき、美姫の「ひゃッ!」という小さな悲鳴が部屋にこだました。
気が動転してたのか、美姫の太ももに手を触れてしまっていたのだ。
俺は急いで謝った。

美姫は「ちょっとビックリしただけですから大丈夫ですよ~w」って感じで、干菜はそんな俺を笑ってるだけ、A達は冷やかしていたが内心穏やかではないっぽかった。

日が暮れた辺りで美姫が帰ることになり、なぜか俺が一緒に帰ることに。
美姫は電車で、俺は歩きだから美姫1人になる、ということでA達も一緒に。
ということでお開きになった。
途中、俺だけに話があるということで、暗い公園のベンチで美姫と2人きりで話をすることになった。

美姫「最近・・・あまりみんなで遊ぶ機会がないですよね、特に干菜先輩とE先輩がいなくて・・・私、寂しいです。このままサークルが分裂しちゃったりするのは嫌です」

「また全員で遊びましょう」と、グイっと顔を近づけ、俺の太ももに手を置きながら言うもんだから滅茶苦茶ドキドキする。
公園の乏しい灯に照らされた美姫の顔、肩、そして太もも、それらがそのドキドキをさらに加速させた。

美姫「また一緒に遊んでくれたら、私の脚を触ったことも許してあげます♪・・・ウソですよ!それじゃ失礼しますw」

そう言って美姫は体を揺らしながら帰っていった。
俺はしばらく動けずにいた。

《自慰》
結論から言うと、俺はその日、美姫をオカズにした。
童貞にとって何もかもが初めての経験だ。
沸騰する欲を抑える方法がそれしかなかったのだ・・・というのは言い訳なのか。
左手の感触、美姫の太ももを思い出す。
あられもなくM字開脚した美姫をイメージし、「また一緒に遊んでくれたら、私の太ももで何でも挟ませてあげます♪」という捏造台詞を脳内で再生し、目を瞑ってトリップし、太ももに顔を挟んでもらう姿を思い描いて夢中でシコった。

(はぁ~、えがった・・・。美姫を追えば、現実の女をソースにしたこんな有意義なオナニーを毎日出来るのか・・・)

と考えた瞬間、自分のやってることのしょうもなさと、サークルを混乱させている女で抜く情けなさとで溢れ返り、自己嫌悪に陥った。
結局その日はあまり寝られなかったが、それは美姫に甘えるような妄想で抜いたからだ!ということで、次の日の授業中に美姫を犯す妄想をシミュレートし、帰ってから即実行した。

縄で縛った美姫のパンツだけを剥ぎ取り、レイプするというもの。

「先輩・・・イヤです・・・」

どこかで聞いた捏造セリフを喋らせ、「うるせえ!お前のような男をたぶらかす淫売にはこうだ!うおおおお!」と叫び、思い切りシコって射精した。

バカなことをやってることには変わらなかった。
女日照りをこじらせると、ここまで末期的になるのか・・・。
結局、公園のときの「遊べなくて寂しい」と言う彼女と、学食で俺たちを見下していた彼女、どっちが美姫の本当の顔なのか分からなくなっていた。

「美姫ちゃんがあんたに気がある、とか思ってる?」

干菜に相談したら、こう返ってきた。

干菜「腐っても鯛ならぬ、枯れても女ってヤツで、あたしも女だから分かるけど、ああいうスキンシップは好意を持ってるからというより、好意を持って欲しいからやってるって感じだね。美姫ちゃん風に言うと、もっとチヤホヤして欲しいってこと、つまり軽い色仕掛け。あとA君達を焦らそうって気もあるかもね」

確かにそっちの方が頭の中で合点がいく。
しかし本音まで聞いてるのにちょっと接近されただけで揺らぐんだから、本当にヘタレだなと思う。

《捜索》
俺は環境的な意味でも、話が合う女友達がいるという意味でも居心地が良く、試験対策という口実もあり初めて干菜の家へ行った日を境に、食事、睡眠、オナニー、授業以外の時間の半分近くを干菜の部屋で過ごすようになっていった。
干菜は相変わらず年中男物のようなダブついた長袖長ズボンだが、それでも夏に入れば薄い生地の服になる。
そんな彼女をほぼ毎日観察してる俺だからこそ感じることが出来た、一つの可能性があった。

(実は干菜って、結構いい体をしてんじゃないか・・・?)という可能性。

実際はどうだか分からないが、知りたいと思ったら頭が止まってくれない。

(どうしたら干菜の裸が見られるだろう。いや、裸じゃなくてもいい、その裸を想像させる何か・・・)

と、ここで一つの名案が浮かんだ。

俺「なあ、干菜って洗濯物どうしてんの?俺とか外に干すのが色々面倒くせぇから常に部屋干しって感じだけど、そんな感じもないし」

干菜「んー?あたしも大体部屋干しだよ。外に干すのもちょっとねー。盗られたりしたらアレだし」

俺「やっぱり気にするんだな」

干菜「あーいやそうじゃなくて、ブラってすっげー高いのよ。ゲーム2本とか買えるレベルで。あたしにしてみたら現金やゲームソフトを干してるような感覚だしw」

俺「wwwwてか下着盗られる心配もしろよwwww」

干菜「いやいやwwwwあたしみたいな地雷の下着盗ってどうしろとwwwwwまあ、あんま見苦しくないように配慮して風呂場とかに干してるよ。一応あんたも客人扱いしてあげてるんだから感謝しなよww」

干菜家の風呂はユニットバス、つまりトイレと繋がっている。
つまりカーテンでトイレから見えないようにして風呂場に干している、というわけなんだろう。
せっかく世間話感覚で洗濯物の場所を聞き出したんだ、いきなりトイレに行くとなったらさすがに怪しまれるだろう。

さらに小1時間待ち、トイレに立った。
しっかりロックを閉めて風呂場を見る。
カーテン越しに何かが吊られていることがわかる。
想定通りだ。
シャッと開けたら、その音があっちにも聞こえるだろう。
そろりそろりと抜き足で暖簾をくぐるように風呂場へ侵入。
怖いくらいに想定通りに下着などが干してあった。
数日分まとめているのか、いくつかある。
日を改めてたら見られなかったかもしれない。
どうやらスポーツブラのようだ。
干菜らしいといえる。
乳房を覆うカップ部分は結構ゴツそうに見えるが、普通のブラより分かりづらいし、サイズが分かるタグのようなものもない。

(スポブラだけなのか・・・)

諦めかけたとき、ふと洗濯ネットが目に入った。

(まさかこれに・・・?)

急いで開けると、またもやドンピシャ。
そこにはババ臭いベージュの普通のブラが!
しかも相当ゴツい。
カップ部分とか、そこに飯を盛って食えそうなくらいに深い。
下着っていうか、なんかもう防具みたいだ。
タグを見ると、G70、アンダー70、バスト95という表示が目に入る。
全ての意味が分かるわけではないが、バスト95cmのGカップであることは分かった。

そこからはもう無意識にパンツにまで手が伸びていた。
ブラは高いらしいが、こっちはどう見ても安物だ。
出来るだけ趣味の物以外は安く済ませようという干菜の性格らしい。

裏返してみると白の無地なのだがお股に触れる部分が全体的にほんの少し黄ばんでおり、そしてクロッチ部分がさらに細い楕円形に黄ばんでいる。
こういうのってシートとか使わないのか。
察するに、安物を穿き潰すというか、汚れても全然平気で、どうしようもなくなったら捨てればいいってことなんだろう。
ものぐさなところも、これもまた干菜の性格らしい。

何にしても、汚くて萎えるということもなく、むしろビンビンである。
こいつぁえれェもんを見ちまった。

(盗む?)

論外である。

(その場でシコる?)

駄目だ。
臭いは誤魔化せないだろう。

(じゃあ写真でも撮るか?)

音が聞こえる。
つまり見逃すしかない。
そうなると冷静さが戻ってくる。
大便にしたってトイレにいるには長すぎる時間だ。
早く出ないと。

干菜「おかえりー。ウンコ長すぎない?wあんま洗濯物に匂いとか付けて欲しくないんだけどww」

ドキッとさせられたが、気付いていないっぽい。
録画したアニメを一緒に観ているが、視線は干菜の体だ。
ダボッとした長袖チェックシャツの中に95cmGカップの胸をスポーツブラで押さえこんでいて、これまたサイズの合ってないジーンズ越しに今も分泌物を安物ショーツが受け止めてシミを形成している最中であろう。

そう考えると、もう我慢できない。
帰って即オナニーである。
『バスト95cm Gカップ』でググって出てきたAV女優のオッパイを見て、(これとそう変わらないカラダが、あの服をひん剥くと出てくるのか)と思いながらシコる。
スッキリしたら思考が明晰になり、現在のサークルの状況を整理して、一つの考えをよぎらせた。

《決断》
A達の意識は美姫に向いており、お互い牽制し合って現状を保っているが、美姫の本音は俺達を都合のいいお付きくらいにしか思っていない。
それを知っているのは俺だけ。
そして、干菜とここまで親密なのも、男なら誰でも飛びつくような体をしていることを知っているのも、また俺だけ。
恋愛沙汰はサークルならご法度だろうが、誰も干菜を向いておらず、サークルも実質分離状態。
つまり・・・、なら干菜を喰ってしまおう。
向こうもどうせ男の経験なんてないだろう、酒でも飲ませて押し倒せばどうとでもなる。
大丈夫、好意のない男をあんなに部屋に招いたりしないだろう。
黒い思考が充満していく。
この時、俺の中で『姫』と呼べる存在は美姫から干菜へと変わった。
(まあ当時は『オタサーの姫』なんてスラングもなかったが)

ただ、あいつらのように“囲い”のような存在に留まるつもりはない。
積極的に娶り(めとり)に行く。
そう、俺は干菜という姫に謀反する囲いだ。
相当長くなったが、これが俺が行動に移すまでの心中の推移だ。

<続く>

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