教育実習の思い出[前編]

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大学4年、教育実習生として母校(高校)へ2週間行った。

就くことになったクラスで初めて挨拶した時、1人の男の子と目が合った。
悪戯な笑みを浮かべてこっちを見ていた。
見るからにやんちゃな感じの男の子で手を焼くことになりそうな気がした。
先が思いやられるな・・・と思った。
それが私とHくんとの出会い。

Hくんは野球の推薦で入ったらしく勉強は全然できなかった。
居眠り、遅刻の常習で他の先生からも気をつけるように言われていた。
Hくんはクラスの女の子とはほとんど話さない反面、私には1日中ちょっかいを出していた。
バカなことばっかりやっているようで、時々真剣な目をしたり気怠い表情を見せたりするので私は不覚にもドキッとした。

指導案が出来上がらず帰りが遅くなった日、偶然部活帰りのHくんと同じ電車になった。
田舎の小さな駅で私たちは2人きりになった。
電車が来るまで私たちは取り留めのない話で盛り上がった。

「先生、いつまでうちの学校にいるの?」

突然Hくんがじっと私の目を見ながらそう聞いた。

「今週いっぱい・・・」

その視線に耐えられず、私はHくんから目を逸らした。

Hくんは急に立ち上がって自販機に向かいジュースを買って一気に飲んだ。
少し余らせて「ハイ」と言って私に差し出した。
受け取る手が震えないように自分に言い聞かせた。
幸い何ともないふりをしてジュースを手にしたが、心臓の音がHくんに聞こえてしまうのではないかと思うほど私の胸はどきどきしていた。
飲み口に口をつけた瞬間、キュンとなるのを感じた。
その夜、Hくんのことを考えてなかなか寝付けなかった。

次の日からHくんはアイコンタクトするように私にいつも目で話しかけるようになった。
ジュースのことがあった翌日、Hくんが熱を出したらしく保健室にいると担任の先生から聞いた。
両親が忙しいので迎えにも来れないので保健室で寝かせているとのことだった。

心配になって保健室に行った。
保健室の先生が書類を取りに職員室に行っている間にそっと仕切りをあけると、Hくんはすぐに目を開いた。

「先生の声がしたと思った。心配した?」

そう言って悪戯な表情で話しかけてきた。

「心配したよ」と言うと、「エヘへ」と子どもみたいな顔で笑った。

「先生は教室に戻るね。ちゃんと寝てなよ」

傍から離れようとしたら急にHくんに人差し指から小指の先の方を掴まれた。

「先生の手、冷たくて気持ちいい」

そう言いながらHくんは自分の首元に私の手を持っていった。

「氷枕、詰め替えるね」

そう言って手を離そうとしたその時、Hくんは私の人差し指の腹の部分をそっと自分の口元に持っていった。

「もうちょっとここにいて・・・」

私は動けなくなって横にあった丸椅子にそのままそっと腰を下ろした。

そのままHくんは私の人差し指を唇で挟むような感じで離さなかった。
何だか焦らされているような気分になった。
そんな私の気持ちに気づいたのかHくんは半身だけ起き上がって今度は自分の指を私の口元に近づけた。
1分くらいそんな状態が続いてHくんは顔を近づけてきた。

キスされるのかと思ったら私の肩に頭を乗せてきた。
その間Hくんは何も言葉を発さなかった。
ただ私の首筋には熱があるHくんの熱い吐息だけが感じられた。
不謹慎だけどすごくいやらしい気分になった。

私も何も言えないでじっとしていると廊下から足音が聞こえた。
私は理性を取り戻してぱっと立ち上がり、Hくんを再び横にして布団をかけた。

保健室に戻ってきた保健の先生に「先生、Hくんのことお願いします。私、戻ります」と言って教室を後にした。
何も疑っていないベテランの保健室の先生のさわやかな笑顔がむしろ私の中に罪悪感を感じさせた。

小走りに実習生の控え室に向かいながらどきどきが止まらなかった。
控え室では何ともないふりをしなきゃと思えば思うほどいつもの私ではいられなくなっていた。
気持ちを落ち着かせようとトイレに行ってショーツを下ろした時、顔が紅潮するのを感じた。

たったあれだけのことで・・・。

自分の目を疑ったけどそこには私が感じていた跡が残っていた。
その日の下着の色が返ってそれを助長していた。
その日、結局Hくんは母親が仕事帰りに車で迎えに来るまで保健室で寝ていたけど、私は保健室にはいかなかった。

残り3日となった実習。
Hくんに会うのが正直怖かった。

最終日に校長先生を含めたくさんの先生に見て頂く授業のために私は日々の授業とその反省、新しい指導案の作成に追われた。
必然的に野球部の練習が終わる時間と同じくらいまで学校に残っていることになった。
他の実習生もみんな残っているけどやっぱり電車はHくんと2人だった。
今にして思えば一緒に帰りたいと思ってお互いにその時間を見計らっていたのかもしれないけど・・・。

水曜の帰りもHくんと同じ電車になった。
私たちはまた小さな駅で2人で電車を待った。

Hくんは待合所から出て人が来る様子がないことを確かめたのか、私の真横に座った。
そして野球部のバッグで隠すようにして、私の手の上に自分の手を重ねた。
驚いてHくんを見たら恥ずかしそうに下を向いて、少し笑顔を見せ反対側を向いた。

古い駅なので小さな蛍光灯が数日前から消えかかっていた。
それがとうとうこの日に消えた。
思わずびくっとなった私に、Hくんは「大丈夫だよ」と声を掛けて、非常用という小さな電気を点けた。
そのとき離した手を私はもう1度出すことはしなかった。
Hくんは「何で?」と言った。
私が下を向くとHくんは非常用の電気を消した。
そして私たちは初めてキスをした。

たぶん3秒くらいだったと思う。
私が非常用の電気に手を伸ばした。
そして私は「ごめん」と言った。

「何で謝るの?俺がしたのに」とHくんは言った。

「拒まなかったから・・・」

「それが先生の気持ちじゃないの?」
「・・・ごめん・・・分からない・・・」

「俺はさ。先生が来た日から全部が変わった。先生に会いたいから遅刻もしないし先生の授業だけは居眠りもしなくなった」
「ありがとう」

「先生にうちのクラスにずっといて欲しい」
「先生はまだ大学生だからね」

電車が来たので私たちは乗り込んだ。
乗客は私たち以外にスーツの中年の男性1人が前寄りに座っているだけだった。

私はわざとHくんから離れて1番後ろに座った。
でもHくんが淋しそうに笑いながら私の隣に座りなおした。
今度は手を重ねるのではなく私の腰に手を回してきた。
Hくんがどきどきいってるのが聞こえてきた。
私も黙ってHくんの膝に手を置いた。

どうして高校生の男の子の手の回し方はこんなにいやらしくないんだろう。
手を重ねた時、肩に頭を乗せられた時の肌がつるっとしてたのにもどきどきさせられた。
Hくんは腰に回した手を撫で回したりせずにただ密着するために手を回したようだった。

「先生、俺、次降りるから」

知ってるよ、と思いながら私は身体をHくんに寄せた。
このまま・・・ずっとこのままいられたらいいのに、とさえ思った。
黙ったままHくんは途中の駅で降りていった。

翌日。
実習は後2日間。
授業中、Hくんは教科書で顔を隠しながら私に何か合図をするような仕草を繰り返した。

私が母校に就いてからというもの、やはり若いけど自分たちより年上の女性の存在が物珍しいのか、男子生徒たちは「先生、彼氏は?」「携帯の番号教えて!」と話しかけてきた。
こうしてちやほやされるのは、その時限りということは分かっていた。
教育実習生が珍しいだけなのだ。
でもそうしてくれる方が返って楽だった。

Hくんはそういった事を一切言わなかった。
それが不思議でもあり、淋しくもあった。

その日は何事もなくとうとう最終日を迎えた。
クラスの生徒が色紙を回したり何やらお別れ会の準備をしている気配を感じたが私は知らないふりをしていた。

たくさんの先生方に見せる授業も無事にやり遂げ、いよいよ最後の終礼を迎えた。
色紙を受け取ってクラス委員からプレゼントをもらい、泣きながらお礼を言った。
Hくんの視線を感じた。
ただ黙ってこっちを見ていた。

クラス全員で写真を撮った。
次々とみんなが駆け寄り言葉をくれたけどHくんは輪から離れた所にいた。
Hくんはいつも私にちょっかいを出していたので、他の子が気を利かせて「Hも行けよ!」と言ったのが聞こえたけど、Hくんが来る気配はなかった。
教室を出る時Hくんが消え入りそうな表情でこっちを見ていた。

Hくんのことは気がかりだったけど教生の控え室でみんなが書いてくれた色紙を見ていた。
私はHくんの名前を探している自分に気が付いた。

『先生、ありがとう。いっぱい頑張ってたからいい先生になれるよ。先生のこと絶対忘れない。H』

涙が溢れた。

私は控え室を飛び出した。
この時、担任の先生と最後の反省をした後で教室を出てから30分は経過していたけど、今ならHくんにもう1度会える、そんな気がしたから・・・。

しかし、Hくんは既に部活に向かっていた。
私は拍子抜けして、また少し冷静さを取り戻して控え室に戻り最後の教生日誌を書き上げた。
そしてクラスのみんなに宛てた手紙を教室に貼り学校を後にした。
片付けることも多く遅くなり野球部の姿もグランドから消えていた。
とぼとぼと駅に向かった。
駅の前まで行って私は目を疑った。
そこにはHくんが1人ベンチに座っていた。

「待っててくれたの?」
「・・・」

「最後まで一緒だったね」
「最後なんて言うなよ」

2人の間に沈黙が流れた。

私は思わず「もう会えないかと思った」と言った。
Hくんは黙って私の目を見ていたけど、ふいに私を抱き寄せた。
私も思わずHくんを抱き締めた。
2週間でこの時間帯に誰もこないということは分かっていた。
だから私も大胆になれたのかもしれない。

Hくんは口元を私の耳に寄せ「先生・・・」とつぶやいた。
熱い息が耳元に掛かった。
Hくんが私を抱き締める腕に力を入れるたびに唇が私の耳元に触れた。
そのたびに体が感じてしまい私も唇をHくんの首筋や鎖骨の上辺りに押し付けながら熱い息を漏らした。
私たちは2度目のキスをした。

唇を重ねるだけのキスだった。
Hくんが震えたまま何もしてこないので私は舌をちょっとだけ出してHくんの下唇を這うように舐めた。
Hくんがびくっとなるのが分かった。
唇を少し開き、Hくんが舌を入れやすいように誘導した。
Hくんはぎこちなく舌を入れてきたけどまたそこまでで止まってしまうので私が舌を絡めた。
そこまでするとHくんはこれまでが信じられないくらいに舌を動かし始めた。
Hくんがへっぴり腰な体勢をとっているように感じたので腰を寄せ密着してみて気づいた。
Hくんの股間がすごく硬くなっていた。

Hくんは恥ずかしいのか股間が当たるたびに離そうとした。
そんなHくんを離さずにわざとくっつくようにした。
唇を離した時にHくんの口から震えるような吐息が漏れた。

慣れてきたのかHくんはスーツの上から私の胸を触った。
スーツの上からどうしていいかわからずに戸惑っているようだったので、私は思わずスーツの中のシャツの上にまで手を持っていった。
そうしたらぎこちない手つきで少し強引に胸を触りだした。

Hくんの手つきのぎこちなさと火照った顔がすごくいやらしく見えて、どうしてもHくんのアレを触りたくなった。
もう戻れないと思う自分と、引き返さなくてはと思う自分が葛藤した。
でもHくんの息遣いを感じながら下半身に手を伸ばす自分がいた。

Hくんは部活のあとなので部のジャージを着ていた。
その上からそっと触れてみた。
Hくんはピクンと反応した。
汗なのか感じてるのか湿っている気がして私も濡れてきたと思う。
そして私はそのままジャージの中に手を入れた。
人が来ないか少しだけ気になったけど、もう止まらなくなっていた。

ボクサーパンツの上から先の方に人差し指と中指で触れる感じで手を当てたら今度は汗じゃなくて、感じてこんなに濡れてるんだとわかるようなくらい濡れていた。

「先生・・・」と私を呼ぶ声がかすれていた。

Hくんは私のスカートをたくし上げて触ろうとした。
その時、私も興奮して汗ばんでストッキングが張り付いていることに気が付いた。
私が足を閉じたままなので仕方なさそうにHくんは太ももを触っていた。
内腿の間に手を滑り込ませようとした時、私もぞくぞくっとして「あっ・・・」と声を漏らしてしまった。

さすがに外でこれ以上は無理だと思ったけど、Hくんの表情からこのままおあずけでは可哀想な気がした。

私はそのままHくんの唇を自分の唇で塞ぐようにキスした。
キスしながら下唇を舐めると息が荒くなっている気がしたので、時々下唇を刺激するようにキスを繰り返した。
キスしながらパンツの上から握っていた手を離し中へ入れた。
Hくんのは訳がわからないくらいぐちょぐちょになっていた。

中に手を入れた時からHくんは声を漏らし続けていた。
女の子みたいなあえぎ声でもなく、必死で声を押し殺そうとしているような吐息にも似た声・・・。
私は手を動かし始めた。

「あっ、はっ・・ああ」とHくんは意識が飛んでるような表情をした。

すぐに私は一旦手を休めて今度はゆっくりと袋の裏をくすぐってみたり裏筋に中指伸ばして合わせるように押し当てた。
Hくんの先から出たものを擦り付けるように、人差し指と中指で刺激し始めた時、Hくんが「あっ・・・先生・・・出る・・・」と言った。

私はもう1度握り締めるように持ち直し手を上下に動かした。
ヌルヌルが手のひら全体に広がっていた。

Hくんが「ああっ・・・」と言った直後に私の手のひらと手首あたりに熱いものを感じた。

Hくんはふらふらと駅のベンチになだれるように座り込んだ。
私は(夏前だったので)持っていたタオルで急いで座ったままのHくんのを拭き、化粧ポーチからウェットティッシュを取り出してできる限り後始末しようとした。
Hくんのパンツはもうぐちょぐちょになってしまっていたので、脱ぐように言ってベンチの端でジャージの下に野球の練習着の何か(?)を穿かせた。
においがしたらいけないと思い、焦って持っていた石鹸のにおいの制汗スプレーをかけた。
何事もなかったかのようにできたか分からないけど、私たちは来た電車に乗るしかなかった。

私は県外の大学に行っているので下宿をしていて、その後、少ない野球部の休みを使ってHくんが私の所までやって来てしまったりしたのですが、女の先生×男子生徒・・・ということでお話できるのは以上です。

下手な文章だし、この時点で最後までしていないお話ですが読んで下さった方、ありがとうございました。

<続く>

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