デートのイライラを帳消しにしてくれた大人のセックス

この体験談は約 6 分で読めます。

当時、私は2年付き合っていた彼氏と別れ、携帯からネットする日々。
寂しくて暇だった私は出会い系サイトで知り合った1人とチャット。
年は2、3歳上で、若い男にありがちながっついた感じはなく、話がなかなか面白かったです。
彼も私を面白いと思ったらしく、夜になるとチャットしてました。
朝までチャットしていたこともありました。
今となっては何をそんなに話していたのか不思議ですが、失恋話を優しく聞いてくれたり、好きな本や音楽が似ていたり、知性的な男性に弱い私は、彼を興味深い人だと思っていたのです。

やがてネカフェからアカウントを取ってメッセをするようになりました。
この辺になるとお互いの性的嗜好について結構語り合っていたと思います。
彼は既婚者で、だからがっついた感じがなかったのか、割と冷静に奥さんとのことも語られたり、それがまた悶々としたり。
ロジカルな文面から、勝手にストイックな人を想像したり。
今から思えば、自分も相手も出会い系慣れしていなくて、ネットで知り合った人と繋がるのも新鮮で、お互いにかなり有頂天でした。

言葉のやりとりを繰り返すと、次第に声が聞きたくなり、どちらからともなく番号交換。
彼の奥さんにバレない時間に喋るように。
声や喋り方は生理的に受け付けないタイプではなかったので、ひとまず安心。
彼は北海道の人で、距離が遠い、というのがまた余計に妄想をかき立てました。
言葉も気温も街並みも違う2人は、それらをいちいち報告しあい、新鮮に思い、思いを馳せていました。
というか、お互いが妄想パンパンでした。

実際遠いし無理だろうと思いつつ、「1回会ってみたいな」と言う自分。
声を聞いたらやっぱり写真。
ってことで、お互いに写真を送りあうことになりました。
私は、浴衣姿で料亭で友人と食事した写真がちょうどあったので、「あんまり大きく映ってないけど・・・」とそれを。
彼は、自分の部屋からセルフ撮影の画像を送ってきました。
どうにもコメントしづらい写真でした。
精気のない顔、アキバ系の小柄メガネ。
無理と許容のボーダーライン。
でもまあ、少なくとも中身は悪くないんだし・・・。

そうこうしてるうちに奥さんに内緒で時間が取れそうで、なおかつ諸費を負担するからこっちに来ないかという話が彼から。
会ったらこの流れだと、お手合わせなしは難しい。
・・・困惑。
でも、初めての北海道で、しかもタダ、旅行欲もちょうど満々。

「美味しいものもいっぱいご馳走してあげるよ」

何か起こっても元が取れそう(?)な気がして、意を決しました。
なんせうっかり会いたいとか自分から言っているので後には引けない。
こうなったら思いっきり無理めの女を装って、相手がイニシアチブが握れないくらいの高慢路線でいってみるか。

とりあえず、そんな感じで待ち合わせのホテルロビーへ。
現れたのは服装などは普通だった。
相手が、かなり緊張しているのが判る。
自分も緊張しているが、悟られないようきちんと挨拶。
先手必勝。
とりあえずお茶でもと喫茶店へ。
落ち着かない風で煙草にジッポで火をつけて、わざとらしく机にジッポを放り投げ、ふうーとふかす彼。
なんだか背伸びする子供のようでおかしい。
格好いいと思っているんだろう。
煙草を吸う仕草一つにも、結構人となりが現れるものだ。
余裕なさげに、何本もふかす。
遠くから来た労いとか、喜びとか、まあそんな言葉が出る。
しかし相変わらず軽くきょどっている。

(男ならしゃきっとせんかい。堂々としろ!)

心で叫ぶ。

しかし、こちらも余裕をかましたイイ女モードで、ある意味武装している。
さすがにちょっと気の毒な気もして・・・。

「そんなに緊張しないで下さいよ」と、にっこりしてみる。

おどおどした様子でじっと見る彼。
うーん、厳しいかもしれない・・・。

「いや、あの、正直驚いてしまって。予想以上だったんだ・・・君が。可愛いと思うし。それで・・・」

私も女なので、男性からそう言われると悪い気もせず、威嚇していたようで悪かったかもと、やや対応を緩めることに。
じつは男性を立てるのは得意技。
クラブホステスの経験がある自分は人見知りもなく、話題も何でも来いだし、客ならばどんなブ男でもいい気分でほろ酔いにさせていた。

(そうだ、この旅のスポンサーじゃん、彼は)

そう思うと、根が律儀な自分は、接待モードに自然と切り替わった。
エッチはさておき、せめて対価に見合うサービスをするか。
『あなたと一緒にいれて嬉しいわ』って顔をしてみる。
それに、どうせ1日デートなんだから、楽しまなきゃ損だ。
いや、楽しまないと、自分がつらいかもしない。

1日、彼の用意したプランで観光と食事。
移動は軽で。

「もっといい車だったらいいんだけど・・・ごめんね」

何かにつけて、やたらと卑屈で、やたらと謝る。
そういうのは本当に辟易する。
バラ園の花の咲き具合の悪さまで言い訳して謝る彼。
どうコメントしろっての?
市内観光して昼食。
車の中や移動で手を繋ぐなどのスキンシップがない。
しかし、じっとりした目線は明らかに何かを訴えている。
どうせ下心満々なら、さっさと手くらい繋げばいいのに。
あんなにメッセではエロエロだったくせに。
ちょっとイライラ。

カラオケボックスに入る。
個室なのに離れて座る彼。
いい加減ムカつくので放っておく。
女の方からしなだれかかって来るのを待つなんて、鏡を見てから考えろって話だ。
男は努力を怠るな!

そして9時とか10時。
さすがに、もうデートネタはないようだ。

「これからどうしようか?」みたいなことを言われたと思う。

(なんでその欲求に真っ直ぐに口説けないんだろう)

などと思いつつ・・・飲まなきゃどっちみち夜を凌げない気がして、「バーかどっか連れてって」と提案。
メッセでは『酒が好きでよく飲む』と言っていた。
彼もリラックスするんじゃないかと思った。

ホテルに近い、カフェでお酒もある、みたいなとこへ。
たいして格式ばった店ではなかったが、やたらそわそわしている。
どうも酒は飲んでも家飲みで、店は不慣れだったようだ。
その後への期待からだったのかも知れないが、大人が2人で酒を飲むというシーンで落ち着きがないのは格好悪い。
煙草の吸い方も酒の頼み方も、どうにも間抜けでどんどん萎える。
一緒にいて恥ずかしい・・・という、この日何度か味わった感覚がぶり返してきた。
仕方なく1人でピッチを上げる私。

そんな店も都会より閉店時間はずっと早くラストオーダー。
もう誤魔化しようのない天王山に突入の時間だ。

「じゃあ飲み足りないから続きは部屋で」なんて言ったのは自分だったように思う。

女に言わせるとは情けない。
シングルの部屋で冷蔵庫の缶チューハイかなんか飲みながら、この期に及んで指1本触れずにまごまごする彼。
いい加減キレてきた。
日中は人目もあるし、なるべくつまらない顔などは出さないようにしていた反動というか。
ここまで一緒にいて、その態度は甘ったれてる。
不愉快だ。
いわば、私はわざわざ口説かれに来たようなもの。
それをどうするつもりなの?

ソファーに腰掛けて動かない彼を放っておいてベッドに潜り込んだ。
腹立たしいような惨めなような気分。
本当にとっとと寝ようと思った。
すると、しばらく石のようになってた彼が、意を決したふうにベッドにダイブしてきた。

「ごめんっ!君にそんな事まで言わせちゃって、僕って本当に・・・(以下略)」

まだ謝っている。
正直1日、(こいつとやれるのか?ホントにやれるのか?)と自問自答だった。
しかし、まあ、やれやれやっとかと安堵感。
顔はあんまり見たくないんでサイドライトを消そうとするも、「君をよく見たいんだ」なんて言われる。
仕方ない。

エロメッセで女性の愛撫について熱く語っていただけあって、前戯は相当巧かった。
ベッドでの仕事っぷりに1日のイライラがなんとかチャラになった気分になる。
足の指舐めや、しつこいくらいのクンニ、普段なら恥ずかしくてとても好きな相手には簡単に許せないが、彼なら平気だった。
そんな気分で身を任せていたら全身をねっとり責められ、ものすごく感じてきた。
私がメッセで好きだと言っていた『焦らすような責め方』も完璧。
フェラくらいはしたと思うけど、ほとんど私はマグロで、彼に奉仕させてる感じ。
チンチンは小さめだったが、色んな体位、色んな角度で当てて感じさせてくれる。
顔を見ないように、目を瞑ってよがりながら、好きな顔を思い浮かべて果てた。
まあ、私も結局満たされたし、もう会うこともなかろうと、フライトまでをにこやかに過ごし、手を繋ぎ、手を振って、「寂しいけどさよなら、ありがとう」と笑って別れた。

彼も嫁がいる身、これで気が済んで生活に戻り、私を忘れるだろう。
そう勝手に男性心理を読んで安心して家に帰った。

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